「出星前夜」 飯嶋和一 2009-045 | 流石奇屋~書評の間

「出星前夜」 飯嶋和一 2009-045

飯嶋和一氏「出星前夜」読了しました。 

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出版元
小学館
初版刊行年月
2008/08
著者/編者
飯嶋和一
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:2点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
『黄金旅風』で有家の子どもを救うために呼ばれた外崎恵舟。しかし、この外崎が南目の代官所に追放されてしまう。この事件に怒りを覚えた矢矩鍬之介を筆頭とする若衆が終結。折しも代官所で火災が発生し、代官所はこの火災を集結した若衆の仕業と決め討伐に向かうが、返り討ちにあってしまう。それは、これまで一切の抵抗をしてこなかった旧キリシタンの土地で起こった初めての武装蜂起だった・・・。 <<Amazonより抜粋>>


2009年の本屋大賞にノミネートされ、見事7位になりました「出星前夜」です。

物語は、歴史上の「島原の乱」を中心の物語なのですが、特徴的なのは主人公が天草四郎ではなく同地に生きる「寿安(ジュアン)」という青年であること。

この視点は新鮮でした。

この視点のみならず、本書前半は医師である外崎恵州や庄屋である鬼塚甚右衛門の目線で、その時代の理不尽さを浮き彫りにし、大きな世界を魅せてくれます。

この世界観には脱帽です。

「島原の乱」という社会科の教科書の1ページで語られる史実を1200枚の小説にすることで、ある意味で、ものすごく陰惨で儚い物語になるということを実感することができました。

ただ、意気込んで読んでみたのですが、ちょっと読みづらい印象がありました。
もっと落ち着いた時間、落ち着いた場所で読むべき物語であるとやや後悔しております。