流石奇屋~書評の間 -5ページ目

「数学的にありえない(上)」 アダム・ファウアー 矢口誠訳 2009-025

アダム・ファウアー「数学的にありえない(上)」読了しました。

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数学的にありえない〈上〉/アダム ファウアー
¥2,200
Amazon.co.jp
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2006/08
著者/編者
アダム・ファウアー 矢口誠訳
総評
22点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:5点 
装丁:3点

あらすじ
巨大な陰謀に巻き込まれた天才数学者ケイン。窮地に追い込まれた彼の唯一最大の武器、それは「確率的に絶対不可能な出来事」を実現させる能力だった----。北朝鮮に追われるスパイ、謎の人体実験を続ける科学者、宝籤を当てた男、難病の娘を持つ傭兵......随所に仕掛けられた伏線が次々に起爆、全ての物語は驚愕の真相へと収束する----。 <<Amazonより抜粋>>



感想は下巻読了後に。

好きなタイプの小説です。
翻訳本でここまではめずらしいのです。

2009/3/28に借りた本

桜。
先週辺りまで暖かくて、桜もちらほら咲き始めていたのですけど、
今週寒くて、ちょっと停滞気味。

ま、随分早い開花だったので、例年通りになるんじゃないかと思います。

さて、予約本1冊、延長本2冊を含む計6冊の借り出しです。

題名
太陽の坐る場所
読了可能性
★★★★☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2008/12
著者/編者
辻村深月
読前感想
予約本1冊目。辻村氏です。最近読み続けてます。好きです。
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題名
残される者たちへ
読了可能性
★★★★☆
出版元
小学館
初版刊行年月
2008/12
著者/編者
小路幸也
読前感想
新刊本コーナーでたまたま見つけました。本来であれば予約して読む本なのでしょう。ラッキーです。
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題名
クワイエットルームにようこそ
読了可能性
★★★☆☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2005/12
著者/編者
松尾スズキ
読前感想
オススメ本コーナーにありました。松尾氏のことそんなに知らないですが、それなり興味があります。エッセイではなく小説のようなので借りました。
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題名
数学的にありえない(上)
読了可能性
★★★★☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2006/08
著者/編者
アダム・ファウアー 矢口誠訳
読前感想
延長しました。読み始めたのが2日前くらいで思いのほか、面白いので。
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題名
数学的にありえない(下)
読了可能性
★★★★☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2006/08
著者/編者
アダム・ファウアー 矢口誠訳
読前感想
こちらも延長しました。
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題名
会社の品格
読了可能性
★★☆☆☆
出版元
幻冬舎新書
初版刊行年月
2007/09
著者/編者
小笹芳央
読前感想
会社用です。リンクアンドモチベーション社の社長ですね。
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「真庭語」 西尾維新 2009-024

西尾維新氏「真庭語」(正しくは『真庭語―初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺』)読了しました。

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真庭語―初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺 (講談社BOX)/西尾 維新
¥1,155
Amazon.co.jp
出版元
講談社BOX
初版刊行年月
2008/12
著者/編者
西尾維新
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:5点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
この国が戦国で、この世が乱世であった頃―。不穏な気配ただよう歴史の暗がりで、静かに命の火花を散らす者達がいた。その名も、真庭忍軍。“しのび”である彼らが、この時代を生き抜くために選ぶ新たな道とは―!?人外にして埒外の異能集団の伝説はここから始まる。豪華絢爛戦国図屏風<<Amazonより抜粋>>



「刀語」の悪役。
しかもチョイ役を甘んじていた真庭忍軍の物語。
とはいえ、登場する人物は、初代の面々。

感心したのは、あれだけ「キャラを出していけないキャラクター群」であった真庭忍軍であるにもかかわらず、きっちり主役をはれるということ。

構造としては語り手として真庭狂犬がいて、基本的に初代真庭鳳凰が「頭領を12人にする」ことで候補に挙がった4名の物語です。

相変わらずのリーダビリティーの高さです。
あっという間に読めます。
きっと「刀語」を読んでなくても、ま大丈夫です。
初代だし。

ただし、やっぱり「深み」は期待しないほうが良いです。
読み切りだし、特段「刀語」の秘密が解かれているものでもありません。(そういう意味で前述した「刀語」を読まなくても・・・となります)


ちなみに個人的に「刀語」および本作に共通して興味があるのは「新将軍」だったりします。


「ぼくは落ち着きがない」 長嶋有 2009-023

長嶋有氏「ぼくは落ち着きがない」読了しました。

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ぼくは落ち着きがない/長嶋 有
¥1,575
Amazon.co.jp
出版元
光文社
初版刊行年月
2008/06
著者/編者
長嶋有
総評
20点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
青春小説の金字塔、島田雅彦『僕は模造人間』(86年)、山田詠美『ぼくは勉強ができない』(93年)。偉大なる二作に(勝手に)つづく、00年代の『ぼくは~』シリーズとも言うべき最新作!「本が好き!」連載中に大江賞を受賞したことで、ストーリーまでが(過激に)変化。だから(僕だけでなく)登場人物までがドキドキしている(つまり落ち着きがない)、かつてみたことのない(面白)不可思議学園小説の誕生。 <<Amazonより抜粋>>


同氏の「猛スピードで母は 」(第126回芥川賞受賞作)は一昨年の12月に読んでいて、ちょっとそのときの書評を読んでみたりするのですが、やっぱり同作と比較すると、正直、いまひとつインパクトに欠けていたかなという印象です。

図書室にベニヤ一枚で隔てられている空間にある図書部面々の物語。
この場面(シチュエーション)や図書部発足の理由はなかなか興味深かったです。

図書委員がサボり始めることが分かっているので、別に部を創設し、その部員が委員に代わって貸し出しをするといった具合。

そういう理由だから、図書室の中に部室があるということなのですね。

で、物語自体は、その部員の物語。
群像といえば群像ですが、これといったテーマがあるわけではなく「日常」を描いています。

例えば弁当箱の大きさを競い合ったりとか、例えば文化祭を何にするかだったり、例えば裏サイトだったり、登校拒否であったり。

そのような中で、特段部員は成長するというわけでもなく、淡々とそれぞれのキャラクターを演じ、淡々と物語を進めていくわけです。

箱庭にいる、学生達の学生のための物語です。
と思いながら読み続けていくと、ラスト自体が一つの大きな暗喩になっていることにも気がつきます。

淡々としている中にもしっかりと収束している感じを受けました。
また付録(?)のその後の登場人物達も面白かったです。

2009/3/21に借りた本。ただし臨時

臨時です。3連休の真ん中です。

題名
真庭語
読了可能性
★★★★☆
出版元
講談社BOX
初版刊行年月
2008/12
著者/編者
西尾維新
読前感想
予約本1冊目。「刀語」のチョイ役(失礼)の真庭忍軍の初代の頃の話です。興味深々。
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題名
プロデュース能力
読了可能性
★★☆☆☆
出版元
日本能率協会マネジメントセンター
初版刊行年月
2008/12
著者/編者
佐々木直彦
読前感想
予約本2冊目。会社用です。
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「カラスの親指」 道尾秀介 2009-022

道尾秀介氏「カラスの親指」読了しました。

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カラスの親指 by rule of CROW’s thumb/道尾 秀介
¥1,785
Amazon.co.jp
出版元
講談社
初版刊行年月
2008/07
著者/編者
道尾秀介
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:3点 
意外性:5点 
装丁:3点

あらすじ
“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が舞い込んだ。戸惑う二人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは。<<Amazonより抜粋>>


読了後、映像化しやすそうな作品だなと思いました。
たぶん映画というよりもドラマです。

詐欺師の中年2人と、少女1人。
物語序盤は、その詐欺師の手口のようなものから、「過去の何かに追わている」ことの恐怖感のようなものがあり、おのずと中盤以降の布石を匂わせます。

そして、ある事件をきっかけに、一つの組織と戦っていきます。

といっても、詐欺師は詐欺師なりの戦い方があるわけでして、この辺りの頭脳戦というのが後半の見ものとなっております。

その後半のスピード感と言うか、読みやすさは非常に心地よかったです。
まさに場面展開と物語の展開に魅せられました。

どういった「騙し」をするかという、ある種のドキドキ感をもって読み進めていくと、一枚上手の敵がいたりするわけです。

そして、ちょっと物足りなさを残しつつ、まだ数10ページを残して、物語そのものが終了し、エピローグに入るわけですが、そこでもう一つのサプライズがあるといった具合。

読み終えて、「あ~、そういうことなのね~」と。

びっくりはしないものの、妙に納得してしまうエンディングが待っているのでした。
もう一度、読み返してみると、それぞれのエピソードにラストへの伏線があるといった形。
また、物語そのものを大きなもので包括するラストそのもの。

こういう展開は個人的に好きなので、好感触でした。



2009/3/14に借りた本

3月になりましたが、雨ばかり。
で、たまの晴れ間も寒かったりして、どうにかなっています。

晴れて暖かいと花粉。
これまたどうにもなりません。

ま、元気を出していきましょう。

予約本1冊を含む、7冊の借り出しです。

題名
カラスの親指
読了可能性
★★★★☆
出版元
講談社
初版刊行年月
2008/07
著者/編者
道尾秀介
読前感想
予約本1冊目。それなりに本を読まれている方ならご存知の方です。面白いのですね。借り出してみました。
読後感想リンク


題名
ぼくは落ち着きがない
読了可能性
★★★★☆
出版元
光文社
初版刊行年月
2008/06
著者/編者
長嶋有
読前感想
新刊本コーナーより。「猛スピードで母は」の長嶋氏の著作。結構楽しみです。
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題名
幕末不戦派軍記
読了可能性
★★★★☆
出版元
講談社
初版刊行年月
2008/02
著者/編者
野口武彦
読前感想
新刊本コーナーより。幕末好きなので借りました。
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題名
数学的にありえない(上)
読了可能性
★★★☆☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2006/08
著者/編者
アダム・ファウアー 矢口誠訳
読前感想
めずらしく訳本です。この本の何にそそられたかというと本帯。ノンストップサスペンスってのがいいですね。
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題名
数学的にありえない(下)
読了可能性
★★★☆☆
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2006/08
著者/編者
アダム・ファウアー 矢口誠訳
読前感想
こちらな上の下巻です。
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題名
これ、誰がデザインしたの?
読了可能性
★★☆☆☆
出版元
美術出版社
初版刊行年月
2004/09
著者/編者
渡部千春
読前感想
パラパラ本です。たまにこういうデザイン系の本を借りてみたくなります。以前も一度借り出しているようですね。
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題名
図解雑学 論語
読了可能性
★★☆☆☆
出版元
ナツメ社
初版刊行年月
2001/08
著者/編者
狩野直禎
読前感想
仕事用ではありますが、人生用だったりもしますかね。
読後感想リンク


「冠・婚・葬・祭」 中島京子 2009-021

中島京子氏「冠・婚・葬・祭」読了しました。

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冠・婚・葬・祭/中島 京子
¥1,680
Amazon.co.jp
出版元
筑摩書房
初版刊行年月
2007/09
著者/編者
中島京子
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:3点 
装丁:4点

あらすじ
世はすべてこともなし…とは、なかなか行かない。人生の節目節目で、起こった出来事、出会った人、考えたこと。いろいろあるけど、ちゃんと生きよう。そんな気持ちになる4つの物語。 <<Amazonより抜粋>>



タイトルにある「冠婚葬祭」それぞれの話4編が所収されています。

冠は成人式
婚は結婚式
葬は葬式
祭はお盆

それぞれの物語において、それら自体に重きを置くことわけではなく、そこに関わる人々の話です。

いわゆる「慣習」と呼ばれるそれら「冠婚葬祭」とは一線を引いて、人間味あふれる物語を描いているのですが、読了後に感じたのは、これら慣習が存在していることで、そこの関わる人たちの人間味というものがより強く表出されるという点。

「慣習は、慣習である」と思っていたのですが、そこにしっかりと「人」があることに気がつかされた作品でした。



2月のアーカイヴを2月28日23時59分で、今リリースしました。



2月のアーカイヴを2月28日23時59分で、今リリースしました。足あと

ということで、下記URLでございますです。

http://ameblo.jp/sasugakiya-hit/entry-10216626376.html

「忍びの国」 和田竜 2009-020

和田竜氏「忍びの国」読了しました。

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忍びの国/和田 竜
¥1,575
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出版元
新潮社
初版刊行年月
2008/05
著者/編者
和田竜
総評
23点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:4点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
人間離れした技ばかりが、忍びの術ではない。親兄弟すら欺き、ひたすら出し抜くこと。でなければ、生き残れぬ。戦国大名不在の国、伊賀国に織田軍一万余が攻め込んだ。「その腕、絶人の域」と言われる忍びの無門は想い女のお国を連れて敵前逃亡をはかるが……。歴史時代小説の枠を超えた面白さと圧倒的な感動に包まれる傑作長篇。<<Amazonより抜粋>>



伊賀の無門を主人公とした物語。
歴史上においては「天正伊賀の乱(1579年)」の物語となります。

まず読み進めて圧倒されるのは、この伊賀の者達の価値観。
義理人情のかけらもない、自分だけ良ければそれで良いといった価値観。
この価値観をベースに伊賀の下忍が語られていくさまは、ある意味で爽快感があるわけです。

ここにあるのは「生きる物の本能」だったりもするわけです。
とかく「助け合い(互助)」の仕掛けばかりがはびこる現代にとっては、間違ってはいるけど、誤ってはいるけど、とても分かりやすい世界なのです。

このような世界を一般的な時代小説然とさせず、エンターテイメント色豊かに物語る本作は、一歩間違えれば「嫌悪感」を持つかも知れませんが、私達に何かを気づかせてくれます。

物語のラストでは、もう一つの「人としての正しい本質」が垣間見えて、それがまた良いのですね。

物語を彩る登場人物のキャラクター設定も大変興味深く、これだけの際どい登場人物なら、もう一つ物語が書けるんじゃないかと思ったりしました。